感情ラベリング

朝活と瞑想とストレッチ

このモヤモヤ、名前があると楽になる 〜感情にラベルを貼るという知恵〜

なんだかイライラする。でも、何に腹が立っているのか、自分でもよく分からない。
そんな気持ち、感じたことはありませんか?

50代になると、家族のこと、仕事のこと、健康のこと…心が揺れる場面が増えます。けれど、私たちは子どもの頃から「がまんしなさい」「泣かないで」と言われ、自分の気持ちをそのまま感じる練習を、あまりしてきませんでした。

でも実は、気持ちに名前をつけるだけで、心が少し落ち着くことがあるのです。
これを心理学では「感情ラベリング」と呼びます。

たとえば、夫の何気ない一言にイラッとしたとき。「私、怒ってる…いや、ほんとは“寂しかった”のかもしれない」と気づくことがあります。娘の態度に腹が立ったときも、「期待しすぎてたのかな、“がっかり”してたのかも」と言葉を当てはめることで、少し心が整います。

こうして、自分の気持ちに「ラベル」を貼ることは、単なる自己分析ではありません。脳科学の研究でも、効果があるとわかっています。

アメリカ・UCLAの心理学者リーバーマン教授らの研究によると、感情を言葉にするだけで、脳の中の**扁桃体(へんとうたい)**という部分の反応が落ち着くことが確認されました¹⁾。扁桃体は、怒りや不安などの強い感情に関わる“感情の警報装置”のような働きをしています。

また、不安症の人を対象にした研究では、「私は今、不安を感じている」と言葉にするだけで、ストレスが軽減されたという結果も報告されています²⁾。

とはいえ、特別なトレーニングは必要ありません。
大切なのは、「今、私はどんな気持ち?」と、自分に優しく問いかけることです。

たとえば夜寝る前、今日の気持ちをひとことでメモしてみる。「嬉しい」「がっかり」「もどかしい」…そのままでOKです。気持ちを無理に変えようとせず、ただ言葉を与えてあげるだけで、心は少しずつ整っていきます。

気持ちに名前をつけることは、自分を大切にすることです。
年齢を重ねたからこそ、心の揺れに丁寧に向き合っていくことが、より深い安心や人とのつながりに変わっていくのだと思います。

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【感情のラベリングでストレス軽減】ジャーナリングでモヤモヤから抜け出そう【書く瞑想】
日本ジャーナリング協会®︎
https://note.com/japan_journaling/n/n99cc0f92e0b3?sub_rt=share_pw

注釈・参考文献

1⁾ Lieberman, M. D., et al. (2007)
「Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli」
Psychological Science, 18(5), 421–428.
→ 感情を言語化すると扁桃体の活動が減少し、情動反応が和らぐことがfMRIで確認された。

2⁾ Kircanski, K., et al. (2012)
「Effects of Affect Labeling on Exposure Therapy for Public Speaking Anxiety」
Emotion, 12(6), 1348–1357.
→ 公的場面での不安に対して、感情ラベリングがストレス軽減効果を持つ可能性が示された。

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