住宅改修、退院に間に合わない問題〜事前申請とレンタルでつなぐ方法〜

医療・福祉の制度、支援

「退院までに、手すりをつけられたら」

住環境調査を終えたあと、そんな思いが正直ありました。介護保険の住宅改修は、事前申請が必須です。私たちの住む地域では、申請から着工まで1か月ほどかかると言われ、「一日でも早く家に帰りたい」という父の希望とは、どうしてもタイミングが合いませんでした。

ただし、これはすべての自治体に当てはまるわけではありません。介護保険の範囲内の工事であれば、もっと早く申請が通る地域もあります。実際の目安は、担当のケアマネジャーや市区町村の窓口に確認してみてください。

私たちの場合は、あえて住宅改修の申請を急がず、退院後にしばらく実際の暮らしぶりを見てから、工事の内容を決めることにしました。

この記事では、介護保険の住宅改修費の仕組みと、退院に間に合わないときの現実的な備え方を、実体験を交えてお伝えします。

介護保険の住宅改修費とは

介護保険を使うと、手すりの設置や段差解消などの住宅改修にかかった費用の一部が支給されます。

  • 支給の上限額:20万円(要介護度に関わらず一律)
  • 自己負担割合:1〜3割(所得に応じて決まる)
  • 対象工事:手すりの取り付け、段差の解消、扉の取り替え(開き戸→引き戸など)、床材の変更、トイレの便器の取り替えなど

例えば、20万円分の工事をした場合、1割負担なら自己負担2万円で済みますが、3割負担だと自己負担6万円になります。負担割合によって金額の印象がかなり変わるので、事前に確認しておくと安心です。

なぜ「退院までに」は難しいのか

介護保険の住宅改修は、必ず事前申請が必要です。工事をしてから申請しても、原則として支給の対象にはなりません。

事前申請には、ケアマネジャーが作成する「住宅改修が必要な理由書」などの書類が必要で、申請から着工まで自治体によっては1か月以上かかることもあります。

退院日が決まってから慌てて申請しても、間に合わないケースは珍しくありません。

私たちが選んだ方法:あえて急がない

住環境調査の場では、居室からトイレまでの動線に手すりを設置する方向で話が進みましたが、私たちは退院後の実際の暮らしぶりを見てから、工事の内容を確定させることにしました。

理由はいくつかあります。

  • 入院中の様子と、実際の自宅での動き方は違うことがある
  • 一度工事をすると、簡単にはやり直せない
  • 「本当に必要な場所」は、実際に暮らしてみないとわからない部分がある

急いで工事を決めるより、少し時間をかけて見極める方が、結果的に暮らしに合った改修になるのではないかと考えています。

退院時のつなぎは「レンタル」で

住宅改修の工事を待つ間、退院時には置き型の手すりをレンタルして対応することにしました。

介護保険の「福祉用具貸与」を使えば、工事をせずに手すりや歩行器などをレンタルできます。こちらは住宅改修費の20万円枠とは別の仕組みなので、住宅改修の予算を圧迫することもありません。

  • 工事不要ですぐに設置できる
  • 生活状況が変わったら、別の福祉用具に切り替えやすい
  • 住宅改修の判断を急がなくてよくなる

「まずレンタルでしのいで、様子を見てから本格的な改修を考える」というのは、ひとつの現実的な選択肢だと思います。

自治体独自の補助金がある場合も

住環境調査のときに、工務店の方から「介護保険の住宅改修費とは別に、市の補助金も使えるかもしれません」と教えてもらいました。

自治体によっては、介護保険の20万円枠とは別に、独自の住宅改修助成制度を設けている場合があります。要件や金額は自治体によって大きく異なるため、詳しくはお住まいの市区町村の窓口やケアマネジャーに確認してみてください。

まとめ

  • 介護保険の住宅改修費は上限20万円、自己負担は1〜3割
  • 事前申請が必須のため、退院日に工事を間に合わせるのは難しいことが多い
  • 退院後の暮らしぶりを見てから、あえて改修内容を決めるという選択肢もある
  • 工事までのつなぎには「福祉用具貸与(レンタル)」が現実的
  • 自治体独自の補助金がある場合もあるので、窓口やケアマネジャーに確認を

住宅改修は一度工事をするとやり直しがきかない分、「急いで決める」より「様子を見てから決める」という選択も間違いではありません。ご自身やご家族のペースで、無理のない進め方を選んでください。

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