入院中のカンファレンスって何が話される?〜カンファに家族として参加してきたMSWの体験から〜

入院中のカンファレンスの記事タイトルカード(医療スタッフと家族のイラスト入り) 医療・福祉の制度、支援

「退院前カンファ」「中間カンファ」――そんな言葉を、病院のスタッフから聞いたことはありませんか?

医療現場ではすっかり当たり前の「カンファレンス」という言葉ですが、ご家族の立場では、何のことかピンとこないことも多いと思います。

私自身、医療ソーシャルワーカー(MSW)として日々ご家族にお話するときは「カンファ」とは言わず、「今後のことを相談する場」「退院後について話し合う場」と説明することがほとんどです。

そんな私が今回は、家族の立場で、父の入院先のカンファに参加してきました
そこで感じたこと、知っていただきたいことを、やさしくお伝えします。

📝 ちなみに、ご家族が呼ばれるカンファは、主に回復期リハビリ病棟地域包括ケア病棟などの比較的長期間入院する病棟に入院中の場合が多いです。急性期の病棟では、本人や家族への病状説明が主体で、必ず開かれるものではありません。「うちは入院しているけど呼ばれていない…」という場合は、ご本人が今どの病棟にいるかを確認してみると良いかもしれません🌿

カンファレンスにもいろいろあります

「カンファレンス(カンファ)」は、もともと医療スタッフ間で患者さんの状態や治療方針を共有する会議のこと。
ご家族が呼ばれるカンファには、大きく分けて2種類あります。

中間カンファレンス

入院から1か月くらいの段階で、入院の経過を共有し、これからのことを話し合う場
退院時期はまだ確定ではない段階で、リハビリの進捗や今後の方向性を確認します。

退院前カンファレンス

退院が近づいたタイミングで、退院後の生活や介護サービスについて具体的に決める場
ケアマネジャーが参加することも多く、退院から在宅生活へのバトンタッチの場となります。

ご家族へは「経過を共有しましょう」「退院に向けて相談しましょう」と説明されることが多いです。
もし病院から呼ばれたら、「今後のことを家族と一緒に話す大切な機会だな」と思っていただけたら🌿

私たちのケースは中間カンファでした

父は脳梗塞で入院し、現在は回復期リハビリ病棟で過ごしています。入院から約1か月のタイミングで、病院から「経過の共有のために、ご家族にもお越しいただけますか」と声がかかり、参加することになりました。

これがいわゆる「中間カンファ」です。
退院がいつになるかはまだ確定していませんが、これからの方向性を一緒に考える、大切な時間になりました。

実は、中間カンファの段階ではケアマネジャーさんが参加されないことも多いのですが、私たちのケースではケアマネさんも参加してくださり、後で出てくる住環境調査の日程調整までその場でできたのは、とてもありがたいことでした🌿

病院の会議室で医療スタッフと家族が円卓を囲んで話し合う水彩タッチのイラスト

参加するメンバー

カンファの参加者は、病院や状況によって異なりますが、私たちのときはこんなメンバーでした。

立場役割
医師病状や全体方針
看護師病棟での日常の様子
理学療法士(PT)歩行・動作のリハビリ
作業療法士(OT)生活動作のリハビリ
MSW退院支援・社会資源との橋渡し
ケアマネジャー退院後の在宅生活設計(参加されることもあり)
家族自宅での生活・希望の共有

ご本人が参加されない病院もありますが、私たちのケースでは父も同席しました。退院後の生活を決める話だからこそ、ご本人がその場にいる意味は大きいと感じます🌸

何が話されたか――実際の体験から

ここからは、私たちのカンファで実際に話し合われたことをご紹介します。
「カンファって、こんなことも話せる場なんだ」と感じていただけたら嬉しいです🌸

リハビリの進捗

PT・OTから、父のリハビリの様子が報告されました。
歩行は安定してきたものの、転倒リスクは依然として高い。前のめりの「突進歩行」の傾向もあり、ひとり歩きには見守りが必要、と。
ただし、認知症のため実際の状態を認識できておらず、本人は「できる」と思っているので、家に帰ることができないストレスが高じて怒りっぽくなる、落ち込むなどがあるようです。そのため、リハビリに身が入らないことがあるとのことでした。

食事・着替え・排泄などの日常動作はおおむね問題なくこなせている、というのは嬉しい報告でした。

歩行補助具の選定――歩行器、いろいろ試してみたけれど

退院後に父が安全に歩くために、歩行補助具をどうするか――。

私は事前に「歩行器も検討してみてほしい」とお願いしていました。
カンファ前日、リハスタッフがさっそく試してくれていたそうで、結果を共有してくれました。

  • 車輪付きの歩行器:前のめりになりやすく、突進歩行と組み合わさると危険
  • ピックアップ型(持ち上げて動かす固定式):上手に扱えなかった
  • 本人の反応:「あれはいらん」と拒否

それぞれの理由を聞いて、父には歩行器が現実的でないことが、家族としても納得できました。

代わりに、自宅の廊下に手すりを付ける方向で話が進みました。
転倒予防は、本人に合った道具を選ぶことが大事だと改めて感じました🌿

自宅環境調整――住環境調査の予定

リハスタッフから、退院前にご自宅にお邪魔して、暮らしの環境を見せていただけませんかと声がかかりました。

私たちのときは、

  • リハスタッフ
  • ケアマネジャー
  • 福祉用具の業者さん
  • そして父本人

が、自宅を訪問してくれることになりました。実際の暮らしの場で動作を見ることで、手すりの位置や段差の対策が具体的に決まっていきます。

退院後のサービス

退院後の生活を支えるサービスについても話し合いました。

  • 訪問リハビリ(自宅にリハスタッフが来てくれる)
  • 通所サービス(デイケアやデイサービス)

どちらも父には必要だろうということで、両方を希望しました。


ちょっと整理|デイケアとデイサービスって、何が違うの?

「通所サービス」とまとめて呼ばれることが多いですが、日常的には「デイ」「デイケア」「デイサービス」という呼び方の方が一般的かもしれません。

通称正式名称特徴
デイケア通所リハビリテーションリハビリが中心。医師の配置が必要なため、医療機関に併設されていることが多い
デイサービス通所介護入浴・食事・レクリエーションなど生活支援が中心。医師配置は不要

ただ、最近はリハビリ特化型のデイサービスも増えていて、「デイケア=リハ、デイサービス=生活支援」という単純な区分では語れなくなっています。

そしてデイサービスの中身も、本当にさまざま。

  • 自宅のような落ち着いた空間で、居心地を重視した過ごし方ができるところ
  • スロットマシンやカジノ風のプログラムなど、男性が楽しみやすい特色を出しているところ
  • 趣味活動・体操教室のように、興味のある時間を持てるところ

ご本人の性格や好みに合うところを見つけられると、「行きたい場所」になることもあります。

我が家の父の場合は、まずはリハビリ継続を優先してデイケア(通所リハビリ)を希望しましたが、将来的にはデイサービスの中で「父が気に入って通えそうな場所」を一緒に探したいと思っています🌸


「デイは嫌がるかもしれません」

通所サービスについて話したとき、スタッフから「お父さまは、デイ通いを嫌がるかもしれません」とお話がありました。

確かに、父は嫌がるかもしれません。
それでも私は、「意外と迎えが来れば行くかもしれないので、試してほしい」とお願いしました。

退院してから「やっぱり通所が必要だ」となっても、依頼から利用開始まで時間がかかります
退院時点で計画があれば、いざというときすぐ動ける――家族としてはそう考えました🌿

家族として大事だと感じたこと

カンファに参加してみて、改めて感じたことが3つあります。

① 「今は嫌でも、計画しておく」視点

ご本人が嫌がりそうなサービスでも、将来必要になる可能性があれば、退院時に計画に入れておくことが大切です。
ゼロから動き出すより、すでに枠組みがあるところに「やっぱりお願いします」と踏み込む方が、ずっとスムーズ。

② 送り出しがカギ

通所サービスを使うかどうかは、家族の「送り出しの工夫」で結果が変わることが多いです。

「説得して連れて行く」のではなく、「お迎えが来て、気づいたら出かけている」――そんな流れが作れると、案外スムーズにいくことがあります。

完璧な準備よりも、当日の小さな雰囲気作り
これが、認知機能の落ちてきた方への上手な関わり方だと、私は思っています🌸

③ 「本気と冗談のあいだ」を聞ける場

カンファ中、退院後について話していたら、父が「もう帰れる」と言い出しました。
今回の住環境調査は「外出扱い」だと伝えても、父は「帰ってこんかもしれん」と。

スタッフのみなさんが思わず苦笑する場面でした。

ご本人なりに「家に帰りたい」気持ちを表現していて、本気と冗談の入り交じりがなんとも言えない空気を生みました。

カンファは、こうしたご本人の言葉や思いも一緒に共有できる場でもあります。
ご家族から見たご本人の様子、ご本人なりの解釈――そういう「ご家族にしかわからないこと」を伝えられる時間にもなります🌿

これから――10日後の住環境調査へ

住環境調査は父も連れて帰ります。
「家に帰った気持ち」になれる時間として、父にとっても良い経験になるかもしれません。

家族としては、

  • 手すりの位置を一緒に確認する
  • 福祉用具業者さんの提案を聞く
  • ケアマネさんとも顔合わせ

など、退院に向けた具体的な準備が一気に進む予定です。

まとめ|カンファは「家族が思いを伝えていい場」

「カンファレンス」と言うと、専門家ばかりが集まる場のように聞こえるかもしれません。

でも実際は、ご家族が「家での生活」「本人の人柄」「これからの不安」を伝えていい場です。
病院のスタッフは、ご家族からの情報を待っていることもあるんですよ🌸

もし病院から「経過の共有」「今後のことを相談する場」と声がかかったら、ぜひ参加してみてください。

ご家族にしか伝えられないことが、退院後の暮らしを支える大切な情報になります🌿


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