退院前の「住環境調査」って何をするの?〜大勢のスタッフが自宅に集まった日〜

医療・福祉の制度、支援

「退院前に、一度お家を見せてもらえますか?」

そう言われて、何をされるのかピンとこなかった方も多いのではないでしょうか。私自身、MSWとして制度は知っていたつもりでしたが、いざ自分の父の番になると「今日は何人来るんだろう」「何を聞かれるんだろう」と、少し緊張していました。

先日、父の退院前住環境調査に立ち会いました。想像していたより大人数で、想像していたよりも中身の濃い時間でした。

この記事では、住環境調査が実際にどんな流れで行われるのか、誰が来てくれるのか、何を確認するのかを、実体験をもとにお伝えします。

住環境調査とは?

住環境調査とは、退院後に自宅で安全に生活できるかどうかを、専門職と一緒に実際の生活環境で確認する訪問のことです。

入院中の回復期リハビリテーション病棟でのリハビリで「できるようになったこと」が、自宅の環境でも本当にできるかどうかは、実際に自宅で試してみないとわかりません。段差の高さ、廊下の幅、扉の開き方など、病院とは違う自宅ならではの条件があるからです。

そのため、退院が近づいたタイミングで、本人と一緒に自宅を訪問し、生活動作を確認する機会が設けられます。

【コラム】制度上の正式名称について
この記事では「住環境調査」というわかりやすい言葉を使っていますが、診療報酬上は主に次の2つに該当します。

  • 退院前訪問指導料:本人やご家族に、退院後の在宅療養について指導を行うもの
  • 院外リハビリ:PT・OTが自宅などの医療機関外で、実際のリハビリ訓練(段差の昇降練習など)を行うもの

同じ訪問の中でも、「説明・指導」の部分と「実際の訓練」の部分とで、制度上の位置づけが分かれています。詳しい算定条件は病院によって異なるため、気になる方は入院先のMSWや看護師に確認してみてください。

当日、誰が来てくれるの?

私たちのケースでは、次のような顔ぶれが集まりました。

  • 本人(父)
  • 家族(私・妹・私の夫)
  • 入院先のPT(理学療法士)・OT(作業療法士)
  • 入院先のMSW(医療ソーシャルワーカー)
  • ケアマネジャー
  • 福祉用具業者
  • 父の知り合いの工務店の方

正直、「こんなに集まってくれるんですね…!」と妹が驚いていました。入院中のカンファレンスもそうですが、大勢の専門職が本人・家族のために一堂に会してくれる場面は、実はいくつかあります。全員が同じ日に一斉に来るケースもあれば、日を分けて確認するケースもあります。関わる人数や職種は、その方の状態や住宅改修の必要性によって変わります。

当日の父の様子

父は、退院前とは思えないくらいニコニコで、迎えに行ったときにはもう私服に着替えて準備万端でした。車いすで病棟を出発するときには、笑顔で手を振りながら「お世話になりました!」——本人の中では、もうすっかり退院した気分だったようです。

こうした前向きな気持ちは、住環境調査を進めるうえでも大切な後押しになったように思います。

実際に何を確認するの?

① 玄関・上がり框の段差

まず確認したのは、玄関から家に上がるまでの段差です。私の父の家では、上がり框に23cmと20cmほどの段差があり、両側に手すりをつけた状態で、実際に上り下りできるかを確認しました。

② 居室からトイレまでの生活動線

日常的に何度も通うトイレまでの道のりも、実際に歩いて(または車いすで)確認します。曲がり角の有無、扉の種類、手すりが必要な場所などをその場でチェックしていきます。

③ 扉の種類(開き戸か引き戸か)

見落とされがちですが、扉が「開き戸」か「引き戸」かも重要なポイントです。開き戸は開閉のときに前後に体を動かす必要があり、転倒のリスクが高くなることがあります。我が家でも、居室の扉を引き戸に変更するかどうか、その場で検討することになりました。

④ 浴室

浴室は特に慎重に確認されるポイントです。すべりやすさ、またぎの高さ、椅子や手すりの要否などを、実際の浴室を見ながら相談します。

その場で「まだ決まらないこと」もある

住環境調査に行けば、すべてがその日に解決するわけではありません。私たちの場合も、扉の変更や浴室の対策は、その場で結論が出ず「引き続き検討しましょう」という着地になった部分がありました。

ちなみに、この日に同席してくれたケアマネジャーとは、要介護度の区分変更申請をするかどうかという話も並行して進めていました。住環境調査は、こうした他の判断とも密接につながっています。

一度で全部を決めようとせず、専門職と一緒に少しずつ整理していく——そんな心構えでいるとよいかもしれません。

まとめ

住環境調査は、退院後の生活を具体的にイメージするための、とても大切な機会です。

  • 本人が実際に自宅で動いてみて、できること・難しいことを確認する
  • PT・OT・MSW・ケアマネ・福祉用具業者・工務店など、多職種が関わることがある
  • 段差、生活動線、扉の種類、浴室など、確認するポイントは多岐にわたる
  • その場で全部が決まらなくても大丈夫。少しずつ整えていけば大丈夫です

次の記事では、住宅改修が退院に間に合わないときの対応について詳しくお伝えする予定です。よろしければあわせてご覧ください。

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