回復期リハビリテーション病棟ってどんなところ?〜急性期との違い/入院期間/1日の過ごし方〜

医療・福祉の制度、支援

「回復期リハビリ病棟に転院します」

そう言われて、ピンと来た方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。

回復期リハビリテーション病棟」(略して回復期リハ病棟)を、ひとことで言うと――
「リハビリが得意な病棟」です。

急性期病院で命に関わる治療がひと段落したあと、もう一度自宅で暮らせるように、集中的にリハビリをして体と生活の力を取り戻す。そのための専門の病棟です。

実際、私の父が転院するときも、主治医から「リハビリテーションが得意な病院に移りましょう」と説明を受けました。やわらかく、でも本質をついた、分かりやすい言い方だなと思います。

ちなみに、この説明を受けるタイミングは、思っているより早いことが多いです。
診断がついた入院直後・術後すぐの段階で案内されることが多く、場合によっては予定入院の前から「退院後はこういう病棟に移ります」とご案内されることもあります。
(肺炎などで体力が落ちた「廃用症候群」の場合は、症状の落ち着き具合を見ながらご案内されることが多いです)

ご本人がまだベッドで点滴をしている段階で「回復期リハ病棟ってなに?」と戸惑うご家族も少なくありません。
名前は聞いたことがあっても、具体的にどんな場所で、どんなふうに過ごすのかまでは、なかなか知られていないですよね。

私自身、医療ソーシャルワーカー(MSW)として多くのご家族にこの病棟を説明してきましたが、今回、自分の父が脳梗塞で入院し、家族の立場で回復期リハ病棟を経験することになりました。

家族の側から見ると、回復期ってこういう感じなんだ」というリアルな気づきも含めて、今回はやさしくご紹介します。

回復期リハビリ病棟ってどんな場所?

回復期リハビリ病棟は、ひとことで言うと「家に帰るための準備をする病棟」です。

急性期病院で命に関わる治療が終わり、状態が落ち着いてきた方が、もう一度自宅で暮らせるように集中的にリハビリを受ける専門の病棟

主な対象は次のような方です。

  • 脳梗塞・脳出血などの脳血管疾患
  • 大腿骨や骨盤の骨折
  • 心臓の手術後
  • 肺炎などで体力が落ちて動けなくなった方

ポイントは、ただ「安静にして治す」のではなく、身体を動かしながら回復を目指すこと。
お医者さんはもちろん、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)・看護師・MSW・栄養士など、多くの職種がチームで関わります。

急性期との違い(比較表)

急性期病院と回復期リハ病棟、何が違うのかを表にまとめました。

項目急性期病院回復期リハ病棟
目的病気・ケガの治療自宅で暮らす力を取り戻す
過ごし方治療を優先しながら過ごす起きて動く時間が多い
リハビリ体調に応じて少しずつ1日2〜3時間が中心
入院期間状態が落ち着くまで1か月〜半年程度
食事体調に合わせて自分で食べる動作の練習も兼ねる
入浴全介助〜清拭中心入浴動作の練習も兼ねる

急性期は「治療の場」、回復期は「生活を取り戻す場」と覚えていただくと分かりやすいです。退院先は急性期・回復期どちらも、ご本人の状態やご家族の状況によってさまざまですが、回復期リハ病棟は自宅復帰を目指す点が大きな特徴です。

入院期間はどれくらい?

「いつまで入院できるんですか?」
これは、ご家族からよく聞かれる質問のひとつです。

回復期リハ病棟には、入院料を算定できる期間の上限が、対象となる疾患ごとに定められています
言いかえると、「この病棟にいられる期間の目安」が制度上決まっているということです。

対象疾患入院期間の上限(目安)
脳血管疾患・脊髄損傷・脳外傷など150日(重症例、高次脳機能障害がある場合は180日)
大腿骨・骨盤・脊椎・股関節・膝関節の骨折/多発骨折90日
股関節・膝関節の置換術後90日
外科手術・肺炎などの安静で生じた廃用症候群90日
上記の関節の神経・筋・靱帯損傷後60日
急性の心大血管疾患・心臓手術後90日

※疾患の区分や日数は診療報酬で細かく定められています。ご自身のケースがどれにあたるかは、病棟のMSWやリハスタッフに確認するのが確実です。

ただし、これは「最長」の日数。実際には、リハビリの進み具合・本人の意欲・自宅の受け入れ準備などを見て、これより早く退院することも多いです。

「思ったより早く退院って言われた…!」と慌てるご家族も少なくないので、入院が始まった早い段階から「いつごろ退院になりそうか」をMSWやリハスタッフに聞いておくと安心です。

1日の流れ・どんなリハビリをするの?

回復期リハ病棟の1日は、急性期と比べてかなり「動きのある」ものになります。

一般的な1日の流れ(例)

時間内容
7:00起床・整容(顔を洗う・歯を磨く)
8:00朝食(できる限り起きて食事)
9:00〜リハビリ① 個別リハビリ(PT・OT・STのいずれか)
11:00自由時間・看護ケア
12:00昼食
13:00〜リハビリ② 個別リハビリ
15:00自由時間・休憩
15:30〜リハビリ③ 集団リハ・自主トレなど
17:30夕食
19:00〜自由時間
21:00消灯

リハビリは1日2〜3時間が基本。土日祝も実施する病棟がほとんどです。

3つのリハビリ職種

それぞれの専門性を、ざっくり整理するとこんなイメージです。

  • 理学療法士(PT):起き上がる・立つ・歩くなど大きな動作のリハビリ
  • 作業療法士(OT):着替え・食事・トイレなど生活動作のリハビリ
  • 言語聴覚士(ST):話す・飲み込むなどコミュニケーションと嚥下のリハビリ

「リハビリ=歩く練習」と思われがちですが、実は生活全部がリハビリの対象なのです。

家族が面会でできること

入院中、ご家族が面会でできることは、思っているよりたくさんあります。

① 起きて過ごす時間を一緒に作る

ご本人が「ベッドで横になっていたい」と言っても、できれば椅子に座って会話するだけで体への刺激になります。

私の父も、面会中はつい横になりたがるのですが、椅子に座って話していると、20分くらいは普通に過ごせることが分かりました。
「ちょっと座って、お茶飲もうか」と声をかけるだけでも、生活動作の練習になっています。

② リハビリの様子を見学させてもらう

可能な範囲で、リハビリの時間に立ち会わせてもらえると、ご本人が病院でどんな動きをしているかが見えます。
退院後の生活をイメージするうえで、ものすごく参考になります。

③ 自宅の生活を話題にする

「お風呂のここに手すりつけようか」「玄関の段差、どうしようね」など、家での暮らしを具体的に話題に出すことで、ご本人の中で「家に帰る目標」が明確になります。

④ 「家に帰りたい」発言には焦らない

特に認知症があったり、ご自身の病状を理解しづらい状況にある方の場合、回復期に入ったあたりから「もう家に帰れるだろう」「リハビリなんていらない」と言われる場面が出てくることがあります。
急性期より体調が良くなって動けるようになると、ご本人にとっては「もう大丈夫」と感じやすいタイミングでもあります。

もちろん、すべての方がそうなるわけではありません。
でも、もしそういう発言が出てきても、家族としては「焦らなくて大丈夫」ということだけ、まずは覚えておいてください。

このあたりは、別の記事で詳しくお話しする予定です🌿

退院に向けて準備しておくこと

回復期リハ病棟は「家に帰るための準備期間」。
入院中から、家族側でも少しずつ準備を進めておくとスムーズです。

早めに頭に入れておきたいこと

  • 要介護認定を受けていなければ申請を検討(要介護認定の申請方法はこちら
  • ケアマネジャーを探す・決めておく
  • 介護保険サービスの情報収集(通所リハ・訪問リハなど)
  • 自宅の環境を見直す(段差・手すり・トイレ動線など)

退院してから「これからどうしよう…」と動き始めると、サービス開始までに1〜2週間の空白ができてしまい、その間にせっかく取り戻した体力が落ちてしまうこともあります。

ただし、焦って一人で動き出す必要はありません。
まずは病棟のMSWに相談してください。ご本人の状態や退院時期に合わせて、何をいつ・どこから動くかを一緒に整理してくれます。
要介護認定の新規申請・変更申請をするかどうかも、MSWと話してから判断するのが安心です。

退院後すぐにリハビリを再開できる状態で家に帰る」という視点を、MSWやリハスタッフと共有しておくと、回復期リハ病棟の時間がより活きてきます。

まとめ|回復期は「家に帰るための準備期間」

回復期リハビリ病棟は、ただ入院しているだけの場所ではなく、ご本人とご家族にとって「次の生活」をつくるための大切な時間です。

最初は「いつ帰れるんだろう」「ちゃんとリハビリしてくれるのかな」と不安になることもあると思います。
でも、ご家族の関わり方ひとつで、入院期間の意味は大きく変わります。

  • 焦らず
  • でも準備は早めに
  • 多職種チームと家族が同じ方向を向いて

これさえ意識しておけば、退院の日を安心して迎えられるはずです🌸

「もう帰れるだろう」のループに疲れたとき、家族が感じる罪悪感の話、次の記事でもう少し深くお話ししますね。


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