父が脳梗塞を発症したのは、5月2日でした。
回復期リハビリ病棟を経て自宅に戻り、2か月ほどが経ちました。今は週1回のデイサービス、週1回の訪問リハビリ、週2回の通院リハビリを組み合わせて暮らしています。
ところが、この通院リハビリには期限があります。父の場合は、10月末ごろです。
「期限が来たら、リハビリはどうなるの?」「そのあと、どこでリハビリを続ければいいの?」――同じ疑問を抱えているご家族も多いのではないでしょうか。
この記事では、医療保険のリハビリの期限(いわゆる180日)と、その後の介護保険のリハビリへのつなぎ方を、医療ソーシャルワーカー(MSW)としての知識と、まだ結論の出ていない家族としての途中経過の両方からお伝えします。
通院リハビリには「期限」がある
病院で受けるリハビリ(医療保険の「疾患別リハビリテーション」)には、病気の種類ごとに、保険で受けられる日数の目安が決められています。これを標準的算定日数といいます。
| リハビリの種類 | 主な対象 | 日数の目安 |
|---|---|---|
| 脳血管疾患等リハビリ | 脳梗塞・脳出血など | 180日 |
| 運動器リハビリ | 骨折・関節の病気など | 150日 |
| 心大血管疾患リハビリ | 心筋梗塞・心不全など | 150日 |
| 廃用症候群リハビリ | 長期の安静による筋力低下など | 120日 |
| 呼吸器リハビリ | 肺炎・慢性の肺の病気など | 90日 |
数え始める日は、発症・手術・急性増悪(急に悪くなった日)がはっきりしている場合はその日、そうでない場合は最初に診断された日です。
父は脳梗塞なので180日。5月2日から数えると、10月の終わりごろがその目安になります。
180日を過ぎたら、どうなるの?
「180日を過ぎたら、もうリハビリは受けられない」と思われがちですが、実際はもう少し細かく分かれています。
- 医師が「続けることで状態の改善が期待できる」と判断した場合などは、180日を過ぎても医療保険でリハビリを続けられることがあります
- 要介護認定を受けていない方は、180日を過ぎても、月13単位(1単位は20分)までなら続けられます
- 要介護・要支援の認定を受けていて、外来でリハビリを受けている方は、180日を過ぎると医療保険のリハビリは原則として終わり、介護保険のリハビリへ移ることが基本になります
3つ目については、以前は経過措置として医療保険での継続が認められていましたが、2019年3月末でその措置が終わりました。要介護1の父は、この3つ目に当てはまります。
つまり、介護認定を受けている方の多くは、「期限が来る前に、次のリハビリの場所を決めておく」ことが大切になります。期限を迎えてから探し始めると、見学・契約・利用開始までに時間がかかり、リハビリが途切れてしまうことがあるからです。
その後の受け皿は、介護保険のサービス
介護保険でリハビリや体を動かす機会を得る方法は、大きく分けて次の3つです。
| 通称 | 正式名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| 訪問リハビリ | 訪問リハビリテーション | 理学療法士などが自宅に来てくれる。実際の生活の場で、動線や段差を確認しながら練習できる |
| デイケア | 通所リハビリテーション | 医療機関や介護老人保健施設に通う。医師の関わりがあり、リハビリ専門職によるリハビリが中心 |
| デイサービス | 通所介護 | 入浴・食事・レクリエーション・体操など、生活全体を支える。機能訓練に力を入れている事業所もある |
デイケアとデイサービスの違いについては、以前の記事でも詳しく書いています。最近は「リハビリ特化型」をうたうデイサービスも増えているので、名前だけでなく、実際にどんな時間を過ごすのかを見学で確かめるのがおすすめです。
知っておきたい、切り替えのルール
ここで一つ、知っておいていただきたいルールがあります。
介護保険の訪問リハビリテーションや通所リハビリテーション(デイケア)を使い始めると、利用を始めた月の翌月からは、同じ病気について医療保険のリハビリは受けられなくなります。
ただし、医療保険のリハビリとは別の施設で介護保険のリハビリを始める場合は、なだらかに移れるよう、利用を始めた月の翌々月までは両方を使えます。その間、医療保険のリハビリは月7単位までです。
たとえば、10月にデイケアを始めた場合、11月・12月は通院リハビリと併用でき、1月からはデイケアに一本化される、というイメージです(例外として、手術や急性増悪で改めて医療保険のリハビリが必要になった場合は除かれます)。

一方で、デイサービス(通所介護)は、このルールの対象になる「介護保険のリハビリテーション」には含まれていません。父が今、デイサービスと通院リハビリを並行して使えているのは、このためです。
📝 ちなみに父の「訪問リハビリ」は、訪問看護ステーションのリハビリ職が来てくれる形です。介護保険の上では訪問看護の扱いになり、訪問リハビリテーションとは区分が異なります。どのサービスがどの扱いになるかは細かなルールがあるので、実際に組み合わせるときは、ケアマネジャーや事業所に確認してみてください🌿
医療保険と介護保険のリハビリの併用ルールについては、区分変更申請の記事でも触れています。あわせてご覧ください。
我が家の場合――姉妹で、考えが少し違う
ここからは、まだ結論の出ていない、我が家の途中経過です。
今の父は、新しいことはほとんど覚えていられません。脳梗塞で入院したことも忘れていて、ときどきふと思い出す、という様子です。排せつや食事、数時間の留守番はできています。
気がかりなのは歩くことです。「歩ける」と言いながら、実際には歩くのを嫌がり、外出しても車で待つか、ごく短い距離しか歩きません。歩き方は前かがみで、突っ込むように進みます。先日、妹の演奏会に連れ出したときには、狭い場所ほど勢いよく入っていってバランスを崩し、何度か転びかけました。
杖も、リハビリの場で長めに調整すると姿勢が伸びるのですが、一人で歩くときは前のめりのまま斜めに突いてしまい、体を支えきれていません。多点杖も試しましたが、「重い」と言って嫌がりました。
そして何より、転びかけたことを覚えていられないので、本人が危険に気づいて気をつける、ということが期待しにくい状態です。だからこそ、専門職の目があるところで体を動かす機会が、週に何回あるのかは、父にとって大事な問題です。
この「次のリハビリの場」について、私と妹とで、少し考えが違います。
- 私の考え:デイサービスが使えるなら、早めに回数を増やしていってもいいのではないか。いきなり切り替わるより、少しずつ慣れていく方が、父にとっても負担が少ないのでは
- 妹の考え:期限があることは承知のうえで、専門職による通院リハビリを受けられる間は、それを続けたほうがいい
どちらも、父のためを思っての考えです。そして、毎日父のそばにいて、送り迎えもしているのは妹です。なので、今は妹の判断に任せています。
MSWとして多くのご家族に接してきましたが、家族の中で考えが分かれるのは、ごく自然なことです。大切なのは、どちらが正しいかを決めることより、「最終的に誰が決めるのか」を家族の中で共有しておくことだと感じています。
期限が来る前に、家族が確認しておきたいこと
我が家の経験もふまえて、期限の前に確認しておきたいことをまとめます。
- 主治医やリハビリ担当者に、期限の時期と見通しを聞いておく。180日を過ぎても続ける必要があるかどうかは、医師の判断によります
- ケアマネジャーに早めに相談する。新しい事業所の見学・体験・契約には、思ったより時間がかかることがあります
- 区分支給限度額の枠に収まるか確認する。介護保険には要介護度ごとに1か月に使える上限があり、超えた分は全額自己負担になります。回数を増やすときは、ほかのサービスとの兼ね合いも含めてケアマネジャーと相談を
- 本人が無理なく続けられるか考える。送迎の有無、利用時間の長さ、本人が嫌がらない雰囲気かどうか
- 家族の負担も考える。通院リハビリは家族の送り迎えが必要なことが多い一方、デイケアやデイサービスは送迎付きのところがほとんどです
本人が「行きたくない」と言いそうな場合は、切り出し方にも少し工夫がいるかもしれません。父の場合は、事前に説明すると嫌がるのに、当日スタッフが来るとちゃんと出かけていく、という不思議なパターンがありました。その話はこちらの記事に書いています。
まとめ|期限は「終わり」ではなく「切り替えの合図」
- 病院で受けるリハビリには、病気ごとに日数の目安がある。脳梗塞などは180日
- 要介護認定を受けて外来でリハビリを受けている場合、180日を過ぎると介護保険のリハビリへ移るのが基本(医師の判断で続けられる場合もある)
- 介護保険の訪問リハビリ・デイケアを始めると、翌々月までで医療保険のリハビリとの併用は終わる
- デイサービス(通所介護)は、通院リハビリと並行して使える
- 期限が来る前に、主治医・ケアマネジャーと相談し、次の場所を決めておく
- 家族の中で考えが分かれるのは自然なこと。「誰が決めるか」を共有しておく
リハビリの期限は、リハビリそのものの終わりではありません。医療の場から、暮らしの場へと、リハビリを引き継いでいく合図のようなものだと思います。
我が家もまだ、どうするかを決めきれていません。期限が近づいて迷っているご家族も、一人で抱え込まず、主治医やケアマネジャー、病院の医療ソーシャルワーカーに、早めに声をかけてみてください🌸
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