「もう帰れるじゃろ?」
「いつ帰れるんじゃ?」
「で、いつ帰れるんじゃ?」
回復期リハ病棟に入院しているご家族と面会していると、こんなふうにエンドレスで同じことを聞かれる――。
そんな経験をされているご家族、たくさんいらっしゃいます。
医療介護4コマ漫画シリーズ第4話。
今回は、「もう帰れる」エンドレスと、夕暮れ症候群のお話です。

夕焼けが少しずつ濃くなり、空が紫がかってくる時間――。
4コマの背景の色の変化、気づいていただけたでしょうか🌅
なぜ夕方になると「もう帰れる」が増えるの?
認知症のあるご家族が、夕方〜夜にかけて不安が強まり、「家に帰りたい」と訴えが激しくなる。
これは介護の現場でよく見られる現象で、「夕暮れ症候群」と呼ばれています。
夕暮れ症候群の特徴
- 日中は落ち着いているのに、夕方になると別人のように不安になる
- 「家に帰る」「孫の迎えに行かないと」など、過去の役割が出てくる
- そわそわして動き回ったり、ベッドから降りようとしたりする
- 怒りっぽくなる、声が大きくなる
- 夜になると徐々に落ち着く(ことが多い)
なぜ起きるの?
はっきりした原因は完全にはわかっていませんが、複数の要因が重なって起きると考えられています。
- 体内時計の乱れ(昼夜のリズムが崩れている)
- 視覚情報の減少(暗くなると見えるものが減り、不安が増す)
- 日中の疲労蓄積(夕方には認知機能の余力が落ちる)
- 環境変化(昼間のスタッフ交代、面会の終わりなど)
- 過去の生活リズムの呼び戻し(夕方は帰る時間という記憶)
回復期リハ病棟ならではの事情
回復期リハ病棟では、ご本人が動けるようになってくるからこそ、「家に帰りたい」気持ちが強くなります。
- 急性期より体調が良くなった実感がある
- 歩けるようになってきて自信がついてきた
- でも病室の生活には飽きている
- 家族の顔を見ると「もう大丈夫」と思いやすい
本人にとっては「自分はもう治った」と感じやすいタイミング。
でも、医療チームから見ると「ここからが本番」の時期でもあるのです。
このギャップが、「もう帰れるじゃろ?」エンドレスの正体です🌿
家族の心の置き場
同じことを何度も聞かれる――。
これは家族にとって、思った以上に消耗します。
- 言葉では「もう少しだよ」と返しているけど、内心は疲弊している
- 「私が止めてるみたいで申し訳ない」という罪悪感
- 「いつまで続くんだろう」という不安
- 「もう面会に行きたくない」と思ってしまう自己嫌悪
こういう感情が出てきても、あなたが冷たいわけでも、家族失格でもありません。
長く続く介護のなかで、誰もが感じる自然な反応です。
無理に説得しなくていい
「リハビリを頑張れば帰れるよ」「先生がOKしたらだよ」と、何度も理屈で説明することは、実は家族の側がぐったり疲れる方法です。
認知症のある方は、理屈より「感情」に反応されます。
「帰りたいんだね」「そうだね、家がいいよね」と、まず気持ちを受け止める言葉のほうが、ご本人もご家族も落ち着けることが多いです。
面会の時間帯を工夫する
もし可能なら、夕方の遅い時間ではなく、午前中〜午後早めの面会がおすすめです。
日中はご本人も比較的落ち着いていて、穏やかに過ごせます。
病棟スタッフ・MSWに相談する
「もう帰れる」エンドレスでつらいときは、ぜひ看護師さんやMSWに相談してください。
- 夕暮れ症候群の対応は、病棟全体で工夫されています
- 面会の時間や声かけのアドバイスももらえます
- 家族の気持ちも聞いてもらえる存在です
漫画のあかりさんのように、「家族の代わりに先生やリハスタッフに気持ちを伝える」のも、MSWの大切な仕事のひとつ。
ひとりで抱えなくて大丈夫です🌸
まとめ|「気持ち」と「現実」のあいだに寄り添う
「もう帰れるじゃろ?」――。
この言葉の奥には、慣れない場所への不安と、家族への愛着が詰まっています。
ご本人にとっては「帰りたい」が本心。
ご家族にとっては「もう少しがんばってほしい」が本心。
どちらも間違っていないのです。
この「気持ち」と「現実」のあいだに、医療・介護のチームが寄り添います。
そこに家族も入って、一緒に考えていく。
夕焼けの病室で、ふと感じる切なさ。
その気持ちを誰かと分け合える場所が、あるといいですね🌿
回復期リハ病棟そのものについて、もっと詳しくはこちら。
→ 回復期リハビリテーション病棟ってどんなところ?〜急性期との違い・入院期間・1日の過ごし方〜
MSWに頼ってみたい方はこちらもどうぞ。
→ MSWに相談できること〜うまくいかないときの対処法も解説〜
シリーズの過去エピソードもぜひ。

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